成人・高齢者のぜんそく
ぜんそくは子どもの病気?
大人のぜんそくの6〜8割は、成人後に発症。
高齢になってから発症する人も。
日本のぜんそく患者さんのうち65歳以上の患者さんは45%にも。
ぜんそくというと、主に子どもがかかる病気という印象をもっている方が多いのではないでしょうか?
大人のぜんそく患者さんを短小に「ぜんそくをいつ発症したか」を調べてみると、子ども(0〜9歳)の頃に発症した人は2割程度で、多くの人は成人後に発症しており、高齢になってから発症する人もいます。
日本の喘息患者さんのうち65歳以上の患者さんは、約45%にも上っています。
ぜんそくの症状
ぜんそくの主な症状は、咳や息苦しさ、喘鳴など。
ひどくなると、呼吸さえも苦しくなる「ぜんそく発作」に。
ぜんそくにかかると、咳こんだり、息苦しくなったり、「喘鳴(ぜんめい)」といって呼吸とともに”ゼイゼイ” “ヒューヒュー”という音がします。症状がひどいときは、苦しくて動く事も、横になることもできなくなります。これが「ぜんそく発作」です。
ぜんそくが軽症のうちは、症状が出ても軽く、短時間でおさまり、頻度も週に1回かそれより少ない程度ですが、重症化すると毎日症状がでるようになり、発作も頻繁になってきます。
ぜんそく発作は、とくに深夜から明け方にかけて起こりやすいのが特徴です。ほかにも、季節の変わり目など気温差が激しいときや天候が不順なとき、かぜをひいたとき、疲れているとき、あるいは運動したときなどに起こりやすいので気をつけましょう。
ぜんそく発作が起こりやすいとき
ぜんそくの種類
咳ぜんそく
咳ぜんそくは、喘鳴や息苦しさはないものの、渇いた咳だけがつづく病気です。
最近、患者さんが増えていて、長引く咳の原因として最も多い病気となっています。
原因は、ぜんそくと同じく気道の炎症です。
咳ぜんそくは喘鳴や発作を起こすことはありませんが、治療をせずに咳をがまんしていると、典型的なぜんそくになることがあります。
気管支拡張薬がよく効くので、咳の治療に気管支拡張薬を使って、はじめて咳ぜんそくとわかることもあります。
高齢者ぜんそく
ぜんそくの治療に吸入ステロイド薬が使われるようになって、喘息でお亡くなりになる患者さんは少なくなりました。今では年間2,500人を下回るほどに現象しています。
一方で、ぜんそくでお亡くなりになる方の中で、高齢者が占める割合が高くなっていることが指摘されています。
ご高齢の患者さんで、薬の使い方がよくわからない方や、上手く使えない方は、医師に相談してみましょう。
また、ご家族にご高齢のぜんそく患者さんがいらっしゃる場合は、薬をきちんと使うことができているかどうか見てあげて下さい。もし、上手に使うことができない場合は、介助をしたり、医師または薬剤師に相談してください。
ぜんそくの治療
ぜんそく治療の目標は、「健康な人と変わらない生活」。
ぜんそくは、きちんと治療すれば咳や喘鳴などの症状がなくなり、発作を心配することもなく、健康な人と変わらない生活を送ることができます。
日本アレルギー学会による「喘息予防・管理ガイドライン」では、次の7つの項目を治療の目標にかかげています。
ぜんそく治療の目標
- 健康な人と変わらない日常生活
- 肺の機能を正常近くに保つ
- 夜間・早朝の咳、呼吸困難がなくなり、十分な睡眠がとれる
- ぜんそく発作が起こらない
- ぜんそく死の回避
- 治療薬による副作用がない
- 気道のリモデリング(気道の壁が厚くなり、固くなってしまうこと)を防ぐ
日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン」, 2009 より一部改変
ここで大切なことは、発作が起きて苦しいときだけ治療しても、目標には届かないということです。
症状や発作がないときでも、生活の工夫をしたり、治療薬をきちんと使い続けることが目標への近道なのです。